発達障害のメソッド

ADHD、アスペルガーと向き合って42年。身につけたメソッドを公開します。(「アスペルガーのメソッド」を改名しました)

アスペルガー症候群、ホントは感情が読めるのに人の感情が読めないと言われる6つの理由

先日の記事で自閉症スペクトラムの人が一般の人に比べて感情を読み取れないという研究結果の一部に疑問を呈してみたところ、後になって、この問題なかなか奥が深いぞと思うようになりました。それで今回、別の角度から考察してみることにしました。

「相手の感情を読めない」とアスペルガー症候群なのか。

こんにちは、大人のアスペルガー症候群のよしまるです。

先の研究では「表情を読めないこと」と「感情を読めないこと」が対人的相互作用の障害として同列に並べられているように感じました。しかし、表情を読むことは、感情を読むための手段のほんの一部にすぎません。

当然、相手の表情は理解できるけれど、相手の感情を読むことは苦手というアスペルガー症候群の人も結構いるのではないでしょうか。アスペルガー症候群のわたしも、正直言って他の人の感情を読むのは得意ではありません。だからといって相手の感情を読めないことがアスペルガー症候群の中核症状であるという一般的な見解には無理があるように思います。

ふつうの人だって相手の感情はなかなか分からないもの。

一般の人だってそうではないでしょうか。「あいつの気持ちが分からない」、「あの人はわたしの気持ちを分かってくれない」、「女って難しい」、「男って分からない」。ちまたではこんな話であふれています。

そう、相手の感情を本当に理解できるという人なんて極論いないのです。できるという人は特殊能力の持ち主か、はたまた虚言か。だいたい、自分の気持ちすら理解できないっていうのが、人類の定説なのです。

それでも「人の気持ちを理解する」ということは、一般人にはできてアスペルガー症候群の人にはできないとされる。そのレベルで言えば、アスペルガー症候群の人だって人の気持ちは分かります。もちろん、分かってないと言われることもありますが・・・

このへんは正直パラドックスですが、アスペルガー症候群でも感情は読めますし、人の気持ちだって推し量ることができます。

実は感情を読める。しかし、別の原因によって「読めない」と誤解させてしまう。

ではなぜ、アスペルガー症候群の人は「相手の感情を読み取れない」とこれほどまでに言われるのでしょうか。いちアスペルガー症候群の患者のわたしから言わせてもらうと、以下の点があまり理解されていないため「感情が読めないと誤解」させてしまうことが多いのではないかと思うのです。

アスペルガー症候群の人は相手の感情を読み取れないと誤解させてしまう6つの理由。

アスペルガー症候群の人は、

  1. 相手の感情を図星で指摘してしまい、空気が読めないことを感情が読めないことと混同して捉えられてしまう。
  2. 相手が何を感じているかに対するイメージと表現方法が独創的。
  3. 人の気持ちを想像できるが、自分の気持ちの方を優先したいという欲求が勝ってしまうため。
  4. 頭や身体が疲れているときには、相手の感情を無視してしまう(感情をあえて読み取らない)傾向があるため。
  5. 人のして欲しいことを理解しているが、パニックになると別のこと(むしろ正反対なこと)をしてしまう。
  6. 自分のことが理解されていないのではという心配ゆえ、自分の気持ちを優先して主張してしまう。

つまり、アスペルガー症候群の人は感情を読めないというよりは、読もうとしなかったり、自分の感情表現のほうが勝ってしまうことがあまりに多いのです。場合によっては、あまりに的確に感情を読んで指摘してしまうため、誤解されてしまうこともあるのです。

言い換えれば、相手の感情に対して「独特の反応をしてしまう」というのが本質であり、「感情移入に問題があることが多い」のです。

逆にこの点を認め、テクニックで乗り切れば「この人は人の感情を読むのが下手」という悲しいレッテルを貼られずに済むわけです。このテクニックについては、あらためて書きたいと思います。

 ※この記事は、自閉症スペクトラムの人で相手の表情や声から感情を読み取ることに困難を覚える人がいるということを否定するものではありません。

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